師走浪人セブン
『 Hello,Again 』
いや、もう死ねよ。当時の私

かの大ギョォエエテも『若きウェルテルの悩み』については「あれは若気の至り」と
あまり触れたがらなかったそうですが、Hello Again、通称“はろあげ”は過去作品というだけでなく、
私にとって商業デビュー作という特別な意味もあり、身もだえする思いもひとしおだったりします。
いや、もう、いま思い出しても恥ずかしさでのたうち回りそうです。
まったく、目に映るもの片っ端からろくに加工もせず使いやがって。
エアジャッキとか、木人とか。本当、死ね。

つか、もう手に入らないでしょ。これ。本気でレア。
当初こそ、エロゲ屋の棚を見て回ってはこれがないことにしょんぼりしてましたが、
そんな習慣はとっくの昔に脱ぎ捨てたさ。
しかしながら、もし中古屋に置いてあったとしても安いこと請け合い。
だからといって買ってはいけない。
むしろ他のソフトの後ろに隠すか、尽きる気配もないワゴンソフトの下の方に挟んどいてください。
個人的にはアカシックレコードから抹消したい作品ナンバーワン。
間違っても感想なんか送ってこないでください。
そんなことになったら死ぬ。自分で自分を死なす。
ググるの禁止。当時のレビューなんか探してはいけない。
まだサイトにあげてる人は即刻消してください。お願いします。本当に。


まあ、内容の方は簡単に言うと肖像画に恋をした少年の物語です。
もしくは、学校の寮に入ったらその空き室はすでに女子のお茶会の場所にされていて……という話。
ちなみに、入社した時点でWindowsのエロゲをやった経験はゼロ。
そして本作の執筆前に渡されたのが、東鳩とKANONの二本きり。
何という会社ぐるみの無謀。
そもそも私自身、好きなゲームはといえばブランディッシュにダイナソア、ダンジョンマスターといった具合で、
ダークゾーンの床をひとつずつ調べては(鉄球は使わない。もったいない)落とし穴をマッピングして
悦に入ったり、CSBの極悪な罠に鼻をふんふんいわせる変態ぶり。
エロゲで流行っているタイプの感動物や萌えには基本的に不導体。
あ、いえ、一応、東鳩は最後までやりましたよ?
智子なんかお気に入りですし。
だからこそ、鳩2で同じタイプの委員長はやりたくなかったわけですが。
あと、図書室で先輩に犯られそうになってる志保の尻とか?
ちょっと自業自得なところもそそられますね。
さては、私の買うエロゲが抜きゲーばかりなのはこいつのせいか。この、志保の尻め。

まあ、それはともかくとして。
今になって振り返ってみると、処女作のわりには結構色んなタイプのキャラを書いてますね。
年齢も性格もカバーしてる範囲はかなり広い。
書いてて一番大変だったのは、普通に恋をして普通に元気な女の子女の子した女の子。
逆に楽だったのは、いつも変なノリのバカ娘。
人間関係も意外と裏でつながってます。
タイトルのとおり、彼女たちは色んな場面でハローアゲインしてます。
すでにハローアゲインしてるのに気づかなかったり、
主人公の知らないところでハローアゲインしてる人がいたり。
初対面なのにセミ・ハローアゲインだったり。
エピローグは、肖像画を描いたのはこいつだったのかー、とかそんな感じ。
操さん、策士です。
この頃からヒロイン視点も想定しながら書いてますね。
私自身が小説と映画で育ってきたものですから、自然とそういうスタイルが身についていたのでしょう。


この作品にも映画の元ネタがあります。
タイトルは、『Somewhere in Time』。邦題は『いつかどこかで』。
催眠術で過去に旅するという、その開き直りっぷりがある意味男らしい映画です。
しかし、その物語は甘くて美しくて切ない。まるでガラス細工のように繊細。
主人公たちの幸せもささいなことで壊れてしまいます。
ああ……あのコインさえなければ……。

元ネタについては、ネットで当ててる人がいてさすがにびびりました。
同時に、ちょっと嬉しかったことも今はいい思い出。

主演はクリストファー・リーブ。と言ってもわかる人は少ないか。スーパーマンの人です。
落馬事故で全身不随になってしまいましたが、今は慈善事業で精力的に活動されているようです。


初めての商業作品……という以前にそれまで一度もまともな長さの物語を書いたことがなかったせいか、
どこもかしこも妙な具合に力が入ってます。
エロでも変に頑張ってますし。
携帯セックスとか、彼氏ありヒロインを寝取ったりとか、
ロリっ娘を見ながら「十年後のこいつとやっちゃうのか……」と主人公が感慨にふけったり、などなど。
余談ではありますが、別会社での提出課題として書いた初めてのエロ短編は援交ものだったりします。
主人公である大学講師が授業をしていると、講堂の一席に相手の女子高生が座っている。
な、なにぃ〜!? といった具合。
色んな意味で危ない。初っぱなから飛ばしすぎだろ、当時の私。
もちろん、結果は不合格。
でも、あまり落ち込みませんでしたね。

なにせ、それ以前に十社ほど落ちてましたからw

初めてハローワークに行ったその日に某社から面接の電話があったのは、嘘のような本当の話。
そして最初に書いた作品がハローアゲイン。
運命的だ。嫌な意味で。

ちなみに、企画当初のタイトルは、

『中指立てて、かまととチョップ』

また伝説を作りそこねた。



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こうして物語は作られた
そんなわけで、
心に残ったラストシーンをどうにか自分のシナリオにも活かせないかと考えたのが、鳩2の時なのです。
まずは、感動の構造の解析。
新映画天国の方を『今までの思い出が一度に押し寄せてくる』、
嘘つきヤコブを『ユーザーもありえないと思っている光景が目の前で展開される』
という風に解釈。そこから試行錯誤を繰り返し、他の映画の要素を入れたり、
素材の制限や演出の限界を経て、製品として世に出た形に落ち着いたわけです。
実のところ、桜の演出は個人的な作品のためにストックしていたネタのひとつだったのですが、
桜といえば東鳩、東鳩といえば桜……う〜ん、どうしようか……と悩み抜いた末、
ネタも必然性のある場所で使われた方が幸せだろうと投入に踏み切った次第なのです。


ちなみに、愛佳シナリオのテーマは「異性」。由真シナリオのテーマは「将来」です。
リアル高校生にとって最も大きな関心事の二つを臆面もなく取りあげるにあたり、
私の脳内で展開された思索は次のとおり。

(コンシューマーでの発売なので、より広い層が手に取ることになるろう。
 今までとは違い、そういった客へのアピールも考えなくてはならない。
 メインターゲットとなる層に対しては先輩方がいらっしゃるので、
 私がことさら気を回す必要もないだろう。
 むしろ似たような方向性で食い合うことがないよう、既存のエロゲの流行りからは離れた話にしよう。
 まずはファンタジー要素禁止。その上で奇跡を演出するには……)

そのようにテーマを決めた時点で、物語から派手さが失われてもいいかと思っていたのですが、
結局、全然地味じゃなくなりましたね。
ワックスかぶったり、靴下脱がされたり。
どうしてそんなことになったのだろう……。


そういえば何やら誤解があるようですが、由真という名前は私が考えたわけではありません。
十波という名字も何となく思いつきで決めただけで、
自分の過去作品に似た名前があることに気づいたのは随分と後になってからのことでした。
唯一、名前だけ出てきた『仙波律子』については悪のりでした。正直スマン。

ちなみに愛佳の当初の名前は『虹色ふわわ』だったわけですが。
これ、意外とよくね? と聞き回りましたが誰からも賛同は得られませんでした。
おっかしーなー。いいと思うんだけどなー、虹色ふわわ。

そうなると妹は『虹色いくの』か。
本人は本気で嫌がりそうです。



明乃は本当は違う名前だったんだよ。
そういや、明乃のモデルはシャクティでしたなぁ。
しれっとして「知りません」とカテ公に告げる女の冷酷さ。
いやあ、なかなか深い。
カサレリアにいる時からウッソのこと振り回すわ、
クロノクルのおまけだったはずがいつの間にやらモビルスーツに乗ってるわ、
MS戦の最中にコックピットから出てきてウッソのこと直接刺してくるわ、
クロノクルそっちのけで大暴れ、
後々まで烈女として語り継がれるカテ公ことカテジナ・ルース、
またの名を「おかしいですよカテジナさん」ではありましたが、
戦闘ではまったく無力だったシャクティによって最後の最後で切り捨てられる。
まさに、「勝ったのは彼ら(百姓)じゃ」と亡きオデロが草葉の陰で呟いてそうな結末。
いや、これは違う作品か。